「四万温泉にまつわる言い伝え」
延暦年間(782~806)に源頼光の家臣で、渡辺綱、坂田金時、卜部季武と共に
四天王として勇名を轟かせた日向守碓氷貞光が、
越後から上野国に越えるときにこの四万の地に訪れて、
山のたたずまいや谷川の響きに心を澄まし、夜もすがら読経をした。
夜半の頃、どこからともなく童子があらわれていうのに、
『汝が読経の誠心に感じて四万<よんまん>の病悩を治する霊泉を授ける。
われはこの山の神霊なり。』
夢うつつにこの神託を聞いた貞光は、覚めて後に湧出する温泉を見つけた。
この事に感じた貞光は、一宇の堂を建立して自らの守本尊の薬師如来を安置し、
日向守貞光寺薬師瑠璃如来と号し、温泉は「御夢想の湯」と呼び、
神託にちなんでこの地を四万<しま>の郷と名付けた…という伝説です。